完璧主義を手放し、趣味を続けるための小さな一歩
趣味が続かないのは「完璧主義」のせいかもしれません
新しい趣味を始めても、いつの間にか熱が冷めてしまい、気がつけば中断しているという経験はありませんでしょうか。もしそうであれば、その原因は「完璧主義」にあるのかもしれません。
始めたばかりの趣味に対して、「最初からうまくやらなければならない」「完璧な成果を出したい」といった高い理想を抱くことは、決して悪いことではありません。しかし、この完璧主義こそが、時に趣味の継続を阻む大きな壁となることがあります。理想が高すぎるあまり、わずかな失敗で自信を失ったり、少しでも手が抜けないと感じて疲弊してしまったりするからです。
この章では、完璧主義がなぜ趣味の継続を妨げるのかを紐解き、どのように考え方を変え、実践していくことで、あなたの趣味を楽しく継続できるようになるのかを具体的にご紹介いたします。
完璧主義が継続を阻む理由
完璧主義の人が趣味に取り組む際、どのような状況に陥りがちなのでしょうか。いくつかのパターンが考えられます。
- 高すぎる目標設定: 最初からプロのような技術や知識を身につけようとしたり、短期間で大きな成果を出そうとしたりします。現実離れした目標は、達成が難しいため、すぐに挫折感につながります。
- わずかな失敗で諦める: 自分が設定した高い基準に達しないと、「自分には向いていない」「才能がない」と判断し、簡単に諦めてしまうことがあります。
- 行動への障壁: 完璧に準備が整わないと始められない、完璧な環境でないと集中できないといった考えから、そもそも行動に移すこと自体に大きなエネルギーを要し、始めるまでに疲れてしまうこともあります。
- 楽しさよりも義務感: 趣味は本来楽しむためのものですが、完璧を目指すあまり、義務感やプレッシャーに変わり、本来の楽しさを見失ってしまうことがあります。
このような状況は、新しいことに挑戦する際に、特に情報収集や計画立案に熱心な方ほど陥りやすいかもしれません。緻密な計画を立てることは素晴らしいことですが、それが「完璧な計画でなければ実行できない」という制約になってしまうと、本末転倒になってしまいます。
完璧主義を手放す具体的な思考法
では、どのようにすれば完璧主義を手放し、趣味を継続できるようになるのでしょうか。重要なのは、考え方や行動の基準を少しずつ変えていくことです。
1. 「完了」を「完璧」よりも優先する
質の高さよりも、まずは「やり遂げること」に価値を置く考え方です。例えば、新しい語学の学習であれば、「毎日1時間完璧に勉強する」ではなく、「毎日5分でもテキストを開く」「週に一度はとにかく最後まで課題を終わらせる」といった「完了」を優先します。
ある方がプログラミングを学ぶ際に、「完璧なコードを書かなければ意味がない」と考えて手が止まってしまうことがありました。そこで彼は、「とりあえず動けばOK」という基準に変え、その後で改善するというプロセスを取り入れました。結果的に、以前よりも多くのコードを書き、継続学習の習慣を身につけることができたと言います。
2. 「小さな行動」に分解する
どんなに大きな目標も、最小単位の行動に分解することで、実行のハードルを劇的に下げることができます。例えば、「ブログ記事を毎日書く」という目標なら、「PCの電源を入れる」「タイトルだけ考える」「一行だけ書く」といった具合に分解します。最初のステップが簡単であればあるほど、行動に移しやすくなります。
この「ベイビーステップ」と呼ばれる手法は、習慣化の分野でも非常に有効とされています。行動のハードルが低ければ、心理的な負担も少なく、継続しやすくなるのです。
3. 「十分」を目指し、「改善」を繰り返す
「完璧でなければならない」という考えを「今できる範囲で、十分に良い状態を目指す」という考えに切り替えます。最初から完璧なアウトプットを目指すのではなく、まずは「これならまあ良いだろう」というレベルで一旦区切りをつけ、必要であれば後から改善していくというスタンスです。
趣味の活動において、一度立ち止まって「これで十分」と判断し、次のステップに進むことは非常に重要です。完璧にこだわりすぎると、一つの段階で足踏みをしてしまい、全体が進まなくなることがあります。
継続を後押しする実践的なアプローチ
思考法の転換と合わせて、以下のような実践的なアプローチも取り入れることで、完璧主義による挫折を防ぎ、趣味を継続しやすくなります。
1. 継続の記録をつける
どんなに小さなことでも、継続した事実を記録することは、モチベーション維持に非常に有効です。カレンダーに「〇」をつけたり、シンプルなメモアプリに記録したりするだけでも構いません。「これだけ続いている」という視覚的な情報は、自信につながり、さらなる継続の意欲を高めてくれます。
例えば、毎日少しずつ運動を続ける方が、記録アプリを使って継続日数をカウントしていたところ、それが自身の「小さな達成」として感じられ、モチベーションを維持する大きな要因になったという話があります。
2. 仲間と「ゆるく」共有する場を見つける
完璧を求めない仲間と、趣味の進捗や悩みを共有できる場を見つけることも有効です。オンラインのコミュニティやSNSなどで、自身の成果を「発表する」というよりは「こんな感じでやっています」と「報告する」くらいの気持ちで共有するのです。他者の完璧ではない進捗を見ることで、自分も「完璧でなくても良い」と安心できることがあります。
「趣味続け隊の部屋」も、まさにそのような「ゆるい」情報共有と交流の場として、皆さんの継続を後押ししたいと考えています。
3. 小さなご褒美を設定する
目標を達成した際や、一定期間継続できた際に、自分自身への小さなご褒美を設定することも有効です。これは「完璧にできたから」ではなく、「これだけ継続できたから」という基準で設定します。お気に入りのスイーツを買う、少しだけ贅沢な飲み物を飲む、新しい趣味の道具を一つ増やすなど、自分にとってささやかな喜びとなるものが良いでしょう。
まとめ
趣味が続かない原因の一つである「完璧主義」は、少し考え方を変えるだけで、克服することができます。
- 「完璧」よりも「完了」を優先する
- 大きな目標を「小さな行動」に分解する
- 「十分」を目指し、後から「改善」する
これらの思考法を取り入れながら、日々の継続を記録し、ゆるやかなつながりの中で楽しみ、小さなご褒美で自分を肯定する。そうすることで、あなたは完璧でなくても、あなたのペースで、大好きな趣味を長く楽しむことができるようになるはずです。
もしあなたが今、完璧主義によって趣味の継続に悩んでいるのであれば、今日からほんの少しだけ、この考え方を試してみてはいかがでしょうか。小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな継続の力となることを心から願っております。